事前認定ではなく被害者請求で提出する
後遺障害の認定を受けるには、まずは各種書類を自賠責保険会社に提出しなければなりません。そうすると自賠責保険会社が、さらに損害保険料率算出機構というところに書類を提出してくれます。
そこであなたの後遺障害に関する検査が行われ、結果が出るとまた自賠責保険会社に戻され、最終的にあなたの元へ検査結果が届くわけです。
自賠責保険会社へ書類を提出するには2つの方法があります。
1つは事前認定と言いまして、まずは加害者の保険会社に書類を送付し、そこから加害者の自賠責保険会社に書類を送付する方法です。
もう1つは被害者請求と言いまして、加害者の保険会社を一切通さず、加害者の自賠責保険会社に直接送付する方法です。
事前認定と被害者請求の違いは、要は間に保険会社を通すか通さないかだけです。ですがそれがものすごく重要なことで、後遺障害の認定結果に大きく関わってきます。
事前認定にしてしまうと、実は保険会社は上記必要書類だけでなく、あなたの症状に対して色々と難癖をつけた意見書のようなものも勝手に添付して一緒に送るのです。
それを受け取った損害保険料率算出機構は「ふむふむ、なるほど。じゃあこの人は非該当でいいか」となってしまい、せっかく14級9号に認定されるはずだったものが非該当という結果になって返ってきます。
これ、本当の話でこの業界ではもはや常識となっています。ひどいものです。
もしかしたら一部の書類をわざと提出しなかったりしたのでは・・・?と疑ってしまいたくなります。
ところが、被害者請求であれば保険会社を通さないので、このような妨害工作は入る余地が無く、正当な認定を受けることができます。
それで被害者請求をオススメするというわけです。
ちなみに事前認定だとどれくらい認定されにくくなるかというと、ほとんど全滅です。驚くほど非該当になって返ってきます。その確率は100%なのではないかと思うほど。
知らないだけでこんなひどい目にあうのです。知っている人にならなければなりません。
そうでないと、あまりに理不尽だとは思いませんか。
被害者請求における各種書類の準備
自賠責保険会社に提出する書類ですが、主に次のようなものがあります。
- 支払請求書
- 請求者本人の印鑑証明書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 診断書
- 診療報酬明細書
- 休業損害証明書(確定申告書・所得証明書)
- 賞与減額証明書
- 通院交通費明細書
- その他損害を立証する書類、領収書、診断資料等
- 後遺障害診断書
- 日常生活状況報告書
まずは自賠責保険会社に「被害者請求に必要な書類を送って下さい」と言いましょう。もちろん全て無料です。
これらは原則として原本を提出しなければなりません。
コピーでも大丈夫なものもありますが、必ず原本を用意しなければダメなものもありますので書類を揃えるのに若干手間がかかります。
健康保険を使用した場合、診断書は病院へ開示請求をすることでもらえます。
また、診療報酬明細書は市町村役場や社会保険事務所(健康保険組合)へ開示請求すればもらえます。
もし健康保険を使用していない場合(自由診療)は、診断書も診療報酬明細書も保険会社が保有しているはずですので、保険会社に「今までの診断書と診療報酬明細書を全て送って下さい」といえば、コピーを送ってもらえます。
基本的にどちらもコピーで大丈夫なはずですが、なぜか「原本じゃないとダメ」と言われるならば、そのコピーに病院からの認め印を押印してもらえば原本扱いになります。(手数料が高いことが多いので領収書をもらうのを忘れずに)
そのようにして各種書類を取りそろえたら自賠責保険会社に提出するわけですが、一旦提出した書類は返却されませんので、可能なら全てのコピーをとっておきましょう。
最低でも後遺障害診断書くらいはコピーしておいて下さい。あとで必要になることがあります。 (例えば弁護士に相談にのってもらうことになった、異議申し立てを行うことになった等)
もしコピーを取り忘れてしまった場合でも自賠責保険会社にコピーを送付してくれと連絡すれば大抵の場合は無料でもらえるのですが、今すぐ欲しい!という時に手元にないと困ることも多いので必ずコピーは持っておくようにしましょう。
後遺障害の審査と認定結果の通知
各種書類を自賠責保険会社に提出すると、書類に不備がなければ大体1ヶ月~2ヶ月くらい経過してから結果が戻ってきます。
どんなに審査に時間がかかるものでも3ヶ月を越えることはそうそうないと思います。
自宅のポストに自賠責保険会社からの封筒が届いていたならば、どきどきしながら封を開けましょう。そこに「非該当」という無慈悲な文字が記載されているか、「14級9号」や「12級13号」などの認定結果が記載されているかを確認しなければなりません。
あなたの希望通りの等級が認定されていれば、それで被害者請求は完了です。
(希望とは違うものなら異議申し立てを行うかどうかを検討)
後日、あなたの銀行口座に自賠責保険会社から保険金が振り込まれているはずです。
保険会社との示談は済んでいませんが、とりあえず先に自賠責保険会社からある程度まとまったお金が振り込まれてくるのです。
金額は人それぞれですが、120万円~195万円くらいが多いでしょうか。
事故の影響で休業が続いていた方にとっては、非常に助かります。
なお、これらのお金は余分に多くもらえるわけではなくて、あくまで先にとりあえずもらっておけるだけです。
最終的には保険金より「既払金」として差し引かれてしまいますので、全体の合計額が増えるということではありません。