交通事故紛争処理センターなら一人で解決できる
交通事故紛争処理センターと言われても普通の方には馴染みがないと思いますが、嘱託(しょくたく)の弁護士さんが被害者と保険会社の間に入ってお互いが納得して和解できるようにしてくれるところです。
お互いが納得できずに和解できそうにない場合には、簡単な裁判(裁定と言います)をしてくれます。
あまり知られていないことと、何となく恐い、敷居が高いというイメージのために利用する方は少なめです。
ですが実際にはどうということはなく、普通の施設であり、特に緊張するような場所ではありません。
嘱託の弁護士は公平公正に判断をしてくれます。被害者の味方も保険会社の味方もしません。あくまで中立の立場から法律に基づいた判断をしてくれますので、法的根拠さえ揃っていれば普通に裁判をするよりも遙かに短時間で同等の効果を見込めるでしょう。
なんといっても利用料金が無料なので積極的に活用していきたいところです。
流れとしては最寄りの交通事故紛争処理センターに電話で予約(予約が取れるまでに2~3ヶ月かかる)を入れたあと必要書類を提出し、1~3回ほど通って相手と和解するという感じです。
大抵は1ヶ月~3ヶ月の間に解決しますが、稀に半年以上かかることもあります。
もしも和解できなかった場合には審査会に持ち越され、そこで裁定が下されることになります。
途中で和解するよりも、ねばって審査会まで行った方が損害賠償金が増額されることが多いようです。
もちろん必ず増額されるわけではありませんし、場合によっては何かしらのマイナス要因が見つかって減額されることもあるでしょうから、あくまで増額されることが多いようだという認識でいて下さい。
なお、裁定とは裁判で言う判決のようなもので、一旦これが出されると保険会社としては従う必要がありますが、被害者側は不服であれば裁判へと新たに提訴し直すことが可能です。
余談ですが業界の方々は交通事故紛争処理センターのことを紛セと略しますが、何故かインターネット上では紛センと言われることが多いようです。
紛セを利用するなら必携の書「交通事故裁定例集」を手に入れる
交通事故裁定例集とは過去の数々の裁定例を集めたもので、「株式会社ぎょうせい」より発行されています。
この本の素晴らしいところは多々あります。
「なるほど、紛セではこんな項目が重要になってくるのか」
「実際にもらえる金額の内訳がハッキリと項目別に明記されててわかりやすい」
「あ、この人のパターンは自分と似てるな。ということは、これくらいの金額がもらえるのか」
などなど、今まで何となくイメージでしかわかなかったモヤモヤみたいなものがスッキリ晴れることでしょう。
交通事故業界において全くのど素人が、急に業界人の目線で見れるようになるわけです。
特に、自分と似たパターンを見つけることができれば、実際にもらえるおおよその金額の目安がつきます。
これは素人の方にとってものすごく大きな収穫となります。
というのも紛セを利用するにあたって、その自分と似たパターンが載っているページがあるということは大きな自信につながるからです。
もしこの本を持っていなければ、あなたは大きな不安に駆られていたはずです。
「インターネットの情報で調べた限りでは○○円くらいもらえるはずなんだけど、でも実際はどうなんだろうか・・・」
「不安だなぁ。やっぱり交通事故紛争処理センターなんて利用しないでおこうか・・・」
そんな不安を吹き飛ばしてくれるのが交通事故裁定例集です。
このような裁定例が過去にあるのだから自分もそうあるべきだと主張することができる。
全く同じではないがそれに近い結果にはなるはずだ、と主張することができる。
自分が言っていることが見当違いのことではなく、専門家も認める正しいことなんだと実感することができる。
これらの効果は想像よりも非常に大きいものです。
今まで及び腰だった姿勢を、前へ前へと進む姿勢に変えることができるのです。
個人的には赤本や青本は買わずとも、この交通事故裁定例集だけは購入しておくことを強くオススメします。
ちょっと読むだけでも飛躍的に理解が深まっていくのを実感できるでしょう。
実際にはどのような点が重要か、何を説明すれば良いのかといった点を把握することができますので、当日はスムーズに事が進みますし不必要な緊張もせずに済みます。
紛セを利用するならぜひとも購入しておきましょう。
なお、最新号はその年よりも2年か3年ほど前の年度のものになります。
「今年は平成25年なのに平成22年度のやつまでしか出てないな・・・」
なんて思われるかも知れませんが、これはそういうものです。(編集に時間がかかるのでしょう)
そもそも別に最新号である必要はありません。
要は自分と似たようなパターンが載っていれば良いのです。
本自体の価格は約6,000円と決して安くはありませんが、それで何十万円か何百万円か増えるかも知れないわけです。
年度別に4~5冊くらいポンと買っても費用対効果としては十分に納得できます。
交通事故紛争処理センターは基本的に和解を斡旋してもらう場
ちょっと難しい話になりますが、逸失利益を計算するためには中間利息を控除する必要があります。
この中間利息控除を行うための方式が2つあり、複利計算した係数をライプニッツ係数、単利計算した係数を新ホフマン係数といいます。(旧ホフマン係数は今は使われていません)
意味はよくわからずとも、ライプニッツ係数の方が損害賠償金が少なくなって、新ホフマン係数の方が損害賠償金は多くなるという点だけ覚えておけば大丈夫です。
で、裁判だと新ホフマン係数で計算することができる場合もあったりするのですが、交通事故紛争処理センターではライプニッツ係数で計算することになります。
新ホフマン係数とライプニッツ係数を比較すると、数万円しか違わない時もあれば数百万円ほど違いが出る時もあります。
まぁそれは置いておいて、要は交通事故紛争処理センターではライプニッツ係数でしか計算できない、という点です。
理由は確か、基本的に和解を斡旋してもらう場だから云々かんぬん・・・だった気がしますが、とにかくこれはもうあきらめるしかありません。
またもう1つ残念な点として、裁判では請求できる遅延損害金も交通事故紛争処理センターでは請求できません。
残念ではありますが、これらがどうしても気にくわないようであれば弁護士に依頼して裁判をしましょう。
交通事故紛争処理センターはあくまで裁判した場合よりも金額は少なくなるものの、その分早く終わるし弁護士費用もかからないという点がメリットなのです。